遺言の基礎知識
「遺言」とは何か?
「遺言」とは、遺言者の生前の意思や希望を書面に記したものです。具体的には、自分の財産を特定の人にだけ残したいとか、反対に特定の人には渡したくないとか、そういう思いを残しておくものです。
「遺言」は、遺言者の死亡時にその効力が生じるものです。遺言が効力を発するときには遺言者は死亡していますので、法律で定められた厳格な方式によって作成されていなければなりません。これに従っていない遺言は法的な効力を生じませんので、注意が必要です。
内容についても、遺言者の意思であればどのようなものであっても良い訳ではありません。法的な効力が生じる遺言とするには、内容についても法律で定められている事項についての意思表示である必要があります。
「遺言」はどうして必要か?
諸説ありますが、私の経験上で言うならば、ズバリ「残された者の為」です。
遺言によって被相続人(遺言をした人)の意思が明確になり、相続の手続きがスムーズに行えます。また、親族間での相続争いを防止することが可能です。相続人の中で、遺言者の意思を尊重しようという気持ちが働くからです。
相続の手続きに手間取ると、被相続人の預貯金の払い戻しもできません。葬儀費用や生前の入院費用の支払いも、滞ってしまいます。場合によっては、相続人の誰かが一時立て替えたり、無用な出費をさせてしまうことにもなります。
「遺言」があれば、余計なトラブルを避ける事ができます。相続の手続きもスムーズに行えます。遺言は、「残された者の為」に言い残す、重要なメッセージと言えるのです。
「遺言」と「遺書」は違います
私個人としては、遺言と遺書の違いを明確にイメージしている人は少ないように感じています。
私なりに解釈しますと、
遺言・・残された者達への、法律で保護されるメッセージ ⇒ だから、元気なうちに準備が必要
遺書・・臨終に際して残すもの 例:先立つ不孝をお許しください
大きな違いは、「元気なうちに」準備を要するものが「遺言」であるという点。遺書には、法的な効力は生じません。
「自分が死んだら、こうして欲しい・・」という思いに法的な効力を生じさせるには、元気なうちに遺言を準備しておくことが必要なのです。
撤回は自由
一度作成した遺言であっても、遺言そのものを撤回したり、内容を書き換えたりすることは自由。
いつでもできますので、気が変わったら書きなおせば良いのです。